ある日の放課後

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今はテスト前でどこも部活をやってないんだ。 「ごめん」 最初に口を開いたのはこいつ。 突然謝られて俺の頭にはクエスチョンマークでいっぱいになる。 「彼女がいるなんて、嘘」 「…は?」 じゃあ、ここ1ヶ月のあの惚気話はなんだったんだよ。 ここ1ヶ月の俺の気持ちは、なんだったんだよ。 お前の惚気話、俺がどんな気持ちで聞いてたか知らないだろ? 「お前の、気を引きたかったんだ」 手は、あれからずっと握られたままだ。 その手に力がこめられる。 「お前が女の子たちに告白されてるの見るの、もう我慢できない」 「いつかOKするんじゃないかって、いつもヒヤヒヤしてたんだぞ」 恐る恐るこいつの顔を見てみると、ほんのり頬を染め目を細め俺を見つめてきていた。 「夢…じゃないのか…?」 そして、多分俺も同じような顔している。 恥ずかしくて、顔を背けようとしたけどすぐに手で顔を固定され、そのまま俺たちの影は重なった。 手から伝わる体温、唇に感じる感触、お互いの心拍音。 それらが全てこれは夢ではないと語っていた。
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