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ご令嬢と侍女
エライザは、貴族の3番目のご令嬢。
イヴは、エライザのいとこの家に引き取られ仕えるメイドだった。
体の弱かったエライザは、幼い頃はいつも本を読み時間を潰した。
美しく可憐なその少女は、その頃の、外へと憧れた時間を取り戻すかの如く、いつしか外を駆け巡る。
貴族社会を楽しみまた飽き飽きし、男女問わず娯楽や性を奔放に愉しみ、されどいつしか心は凪いで・・・。
そんな頃だ。イヴに出逢ったのは。
ある時、エライザの侍女が急病で倒れ辞めることとなった。
その話を聞いた、エライザのいとこの母である夫人は、自分の侍女の一人、友人のいないイヴにもいいことかもしれないと提案をしてきた。
エライザと歳が近く、時折大きな催し事で駆り出されエライザの家に慣れている、私の侍女のイヴを、新しい侍女にしてはどうでしょう?と。
エライザに手紙が届く。
そうして、イヴはエライザの元へとやって来たのだった。
エライザよりいくつか年上のイヴ。
凛とした顔立ちに背は高く、後ろで一つにまとめた髪に、スラリとしたスタイルの良さが、制服のシルエットから見て取れる。
イヴはにこやかに笑顔を浮かべ挨拶する。
「本日よりエライザお嬢様の身の回りをお世話させて頂きます イヴと申します」
深々とお辞儀をする。その清廉潔白で少し低めの通る声に美しい手をしたイヴにエライザは一瞬、見惚れる。
「……綺麗な手ね…っ 私あなたのその手も整った顔立ちも通る声も 好きだわ!」
若干はしゃぎながらエライザはイヴの両手に触れ、きゅっと握りながら、
「よろしくね!」
と無邪気に笑いかける。
令嬢らしからぬ天真爛漫さと、会ってすぐ好意を示すその様に、面食らいつつ、いい人そうで良かったと安堵するイヴ。
「…エライザ様にそのようにお褒め頂き大変嬉しく思います どうぞよろしくお願いいたします」
少しはにかみながら微笑む。
エライザはますます嬉しそうに顔を綻ばせたのだった。
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