第一章 七不思議のうわさ

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「すみません、せっかくのお誘いですが……」  夜深は困ったように眉を寄せ、言いにくそうに口を開く。  明香と話しているためか、ソラに気付いていないようだ。 「そうですか。でも、気が変わったらいつでも声をかけてくださいね!」  残念そうに言いながらも、明香は笑顔だった。  話し終えたのか、夜深と別れてソラの横を通り過ぎていく。  彼女の横顔に懐かしさを感じながらも、ソラは夜深の元へ向かった。 「あ、おにい」 「並木先輩と話してたのか?」 「ああ、うん。この間から生徒会の活動に誘われてて……」 言いながら夜深は目を逸らす。 まるで後ろめたいことがあるようだった。 「でも、わたしは体調を崩しやすいから、断ったんだよ。生徒会長さんは諦めてないようだったけど」  夜深は喘息持ちのため、季節の変わり目や気温差ですぐに発作を起こしてしまう。  重症化して肺炎になることもあり、今までの学校生活にも支障が出ていた。  その経験から生徒会への参加を断ったらしい。 「夜深なら上手くこなせそうだけどな」 「それでも不安なんだよ」  二人は会話しながら昇降口を出た。  背後から見つめる視線に気づかず、帰路につく。  彼らの背中が遠ざかると、人影は校舎の奥へと消えていった。
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