第一章 七不思議のうわさ

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 食事中、朝食時に話していた『七不思議』の話題になった。 「そういえば、桜高の七不思議について調べてみたんだよ」  夜深は箸休めに食べていた胡瓜の浅漬を飲み込むと口を開く。 「学年ごとに違ううわさが2つずつ、流行ってるみたいなんだよね」 「2つのうわさが3学年でだから、2✕3(にさん)が6!」  話を聞いていた夏世が声に出して計算した。  3つの学年で、七不思議の2つがそれぞれうわさされているという。  夜深の言うことが事実なら、合わせて6つの怪談が囁かれているということだ。 「あれ、でもこれじゃ、七不思議じゃなくて六不思議だよ?」  夏世は首を傾げながら、からあげをご飯の上に何個も乗せ、更にマヨネーズをかけてからあげ丼にしている。 「一つ足りないのにも理由があるとか?」  ソラはちらりと夜深を見た。 「七不思議の7つ目は欠番らしいよ。それを知ったら死んでしまうって」  ご飯を食べ終わった夜深はお箸を置くとそう言った。  6つの怪談の噂と、7番目の『知ったら死ぬ』といううわさを合わせて七不思議らしい。 「えっと、つまりどういうこと?」  理解できてない夏世はまた首を傾げる。 「知ったら死ぬとか、知ったら不幸になるっていううわさは学校の怪談にありがちなんだけど、数合わせなのか本当に何かあるのかはわからなかったよ」 「夜深ちゃんにもわからないことがあるんだねー」  夜深の答えを聞き、夏世が何度も頷いた。  山盛りだったからあげは既に全部消えている。
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