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第二章 生徒会長の秘密
翌日、いつも通り水守姉妹と朝食を取り、ソラは学校へと向かう。
夏世はテニス部の朝練のため、夜深は日直だからとソラよりも早く家を出ていた。
家が近い友達がいないため、一人で登校するソラは駅前で友人と合流した。
「君島、今日は水守と一緒じゃないのか?」
「珍しいよな」
同じクラスの男子二人組は、ソラと夏世が幼馴染で家が隣同士なのを知っている。
「夏世は女テニの朝練。夜深は日直だから早めに出てったんだよ」
喧嘩でもしたのか? ――と言いたげな友人たちの心の声を察し、ソラは答えた。
「ああ、水守は女テニだっけ」
「女テニ、なぁ……」
背の高い方の友人――要は、女テニと聞いて顔を曇らせる。
もう一人の友人、栗原もそんな要を見て複雑そうな表情になった。
「……女テニで何かあった?」
聞きにくい雰囲気になってしまったが、気になったソラは二人に尋ねてみる。
要と栗原は顔を見合わせ、仕方ないというように頷き合うと小声で話し始めた。
「女テニの部長――三年の羽成先輩が、かなりヒステリーらしくてさ。体験入部の新入生を怒鳴りつけたり、色々あったみたいだぜ」
要の話を聞いてソラは驚く。
夏世から、部活の話はあまり聞いたことがないのだが、うわさされるほどのことがあれば、彼女は愚痴の一つもこぼしていたはずだ。
「だからか、今年女テニの新入部員は少ないって」
女テニの新入部員が少ないという話はソラもちらりと聞いていた。
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