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夏世は『体育会系の部活だから上下関係が厳しいって思われてるのかも』と言っていたはずなのに。
「悪いうわさがあるから、生徒会長もたまに顔を出して部活の様子を見てるらしい」
知らない事実が次々と出てきて、ソラは頭を抱えたくなった。
「生徒会長と言えば、同じ電車だったよな。何か今日はピリピリした雰囲気だったけど」
「あー、確かに。普段は女子グループの中心にいるのに今日は一人だったし」
二人の会話を聞いたソラは、昨日の夜、夜深と話したことを思い出す。
生徒会長、並木明香にある、二重人格のうわさ――もしかしたら、彼女には何か秘密があるのかもしれない。
「そう言えば、君島は生徒会長に告白したの?」
栗原から不意打ちで疑問を投げかけられて、ソラは固まる。
ソラが明香に片想いしていることは、友人の間でも有名らしい。
「あー、その様子だとまだ?」
「余計なお世話だよ」
二人から向けられた冷やかされるような視線に、ソラは悪態をつく。
初恋の少女に似ているから――という理由で明香に想いを寄せていることを彼らは知らない。
幼馴染みである夏世や夜深でさえも、ソラの初恋は知らないはずだ。
「告っちゃえって。意外とオーケーもらえるかもよ?」
要がソラの背中を叩く。
「もし振られたら、この三人でラーメン行こうぜ。奢ってやるよ」
栗原も背中を押すように声をかけてきた。
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