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二人は別にソラの告白を強要しているわけではない。
難しく考えず、思うように行動してみたらいいと言っているのだ。
「ラーメンって……」
思わず笑い出すソラ。
そんな彼を見て、友人二人も笑った。
↑↓↑
ソラの初恋は、小学校に上がる前……幼少時に入院していた病院で出会った少女だった。
当時の記憶はおぼろげで、彼女の名前も思い出せない。
唯一、ソラが覚えているのは退院前に彼女が見せた笑顔だった。
名も知らぬ初恋の少女の面影がある、生徒会長。
ソラが彼女に抱いているのは、恋心というより強い憧れのようなものだ。
(告白はしないけれど、一度先輩と話してみよう……)
その日の放課後、ソラは明香と話をするべく生徒会室に向かった。
傾き始めた夕陽が差し込み、廊下はオレンジ色に染まっている。
窓の外では、運動部の生徒たちが部活動に勤しんでいた。
――生徒会室。
教室のプレートを確認し、ソラはドアをノックする。
しかし、返事はなかった。
「失礼します」
少し迷ったソラだが、声をかけてドアを開ける。
焼けるような赤い夕焼けに向かうよう、窓の外を眺めている人影が目に入った。
腰まで届く長い黒髪の女生徒は、桜高で一人しかいない。
「並木先輩」
名前を呼ぶと、彼女はゆっくりと振り返る。
並木明香はソラを見て小さく口を開く。
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