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明香の言葉を背中で受け止め、生徒会室を出たソラは荷物を取りに教室に向かった。
夕陽が傾き、薄暗くなり始めた室内に夏世の姿がある。
「あれ、ソラ。まだ帰ってなかったんだね。先に帰ったのかと思った」
「カバン置きっぱなしで帰るわけ無いだろ」
「あはは、それもそうか」
笑う夏世だが、ソラの目にはいつもより元気がないように見えた。
「じゃあ、一緒に帰ろう。ちょうど、スーパーのタイムセールがあるし。今日は卵が安くなる日だ」
「ソラ、本当に主婦みたいなんだけど……卵を買うなら、お夕飯はオムレツがいいな。でっかいやつ!」
食べ物の話になり、いつもの夏世に戻る。
二人は話しながら校舎を出て、家の近所のスーパーに寄って帰った。
「じゃあ、私は荷物を置いて着替えてくるね!」
家の前で夏世と別れ、ソラは買い物袋を片手に玄関のドアを開ける。
鍵はすでに開いており、夜深の靴が揃えて置かれていた。
「おにい、おかえり」
リビングで宿題を進めていた夜深がソラに気づき、顔をあげる。
「ただいま」
ソラは夜深に応えると、食材をキッチンへと運んだ。
そのまま、夕食の準備を始める。
「おにいが遅くなるのは珍しいよね。久しぶりに鍵を使ったよ」
ソラが不在のため、夜深は合鍵で家に入ったようだ。
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