第二章 生徒会長の秘密

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「夏世ねえ、元素記号を覚える語呂合わせって覚えてる?」 「えっと、確か……水兵リーベ?」 「そうそう。水兵リーベ僕の船、名前ある、シップスクラークか」  水素から始まり、カルシウムまでの覚え方を語呂合わせでなぞる。 「語呂合わせ、言葉は覚えられるんだけど、肝心の元素記号が覚えられないんだよー」  頭を抱える夏世。  夜深はルーズリーフに語呂合わせの言葉を書き、そこに元素記号と元素名を赤と青を使い書き加える。 「水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム……」  目を回しながら、夏世は夜深の書いた元素名を読み上げていく。  何度も繰り返すことで暗記させようという魂胆だ。  そんな二人を見守りながら、ソラはオムレツに入れる野菜を刻んでいた。  スペイン風オムレツを作るため、ジャガイモやパプリカなどを一口大に切る。  じゃがいものアク抜きをしている間に、他のおかずの準備を進めていく。  オムレツが焼き上がる頃には、夏世の頭から湯気が出ていた。 「夏世ねえ、頑張ったね。これで多分、大丈夫だよ」 「歴史の暗記よりはまだマシかなー」  目を回す夏世に、夜深がマグカップに入ったココアを差し入れる。  湯気の立つココアを受けると、夏世は冷蔵庫からホイップクリームを取り出した。  そして、ココアが見えなくなるほどマグカップにホイップクリームを浮かべる。
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