6人が本棚に入れています
本棚に追加
「夏世ねえ、元素記号を覚える語呂合わせって覚えてる?」
「えっと、確か……水兵リーベ?」
「そうそう。水兵リーベ僕の船、名前ある、シップスクラークか」
水素から始まり、カルシウムまでの覚え方を語呂合わせでなぞる。
「語呂合わせ、言葉は覚えられるんだけど、肝心の元素記号が覚えられないんだよー」
頭を抱える夏世。
夜深はルーズリーフに語呂合わせの言葉を書き、そこに元素記号と元素名を赤と青を使い書き加える。
「水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム……」
目を回しながら、夏世は夜深の書いた元素名を読み上げていく。
何度も繰り返すことで暗記させようという魂胆だ。
そんな二人を見守りながら、ソラはオムレツに入れる野菜を刻んでいた。
スペイン風オムレツを作るため、ジャガイモやパプリカなどを一口大に切る。
じゃがいものアク抜きをしている間に、他のおかずの準備を進めていく。
オムレツが焼き上がる頃には、夏世の頭から湯気が出ていた。
「夏世ねえ、頑張ったね。これで多分、大丈夫だよ」
「歴史の暗記よりはまだマシかなー」
目を回す夏世に、夜深がマグカップに入ったココアを差し入れる。
湯気の立つココアを受けると、夏世は冷蔵庫からホイップクリームを取り出した。
そして、ココアが見えなくなるほどマグカップにホイップクリームを浮かべる。
最初のコメントを投稿しよう!