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胸焼けしそうなクリームまみれのココアに口をつける夏世を、夜深は苦笑いで見ていた。
「もうご飯できるよ。片付けて」
「はーい」
ソラに返事をして、夏世はテーブルの上に並んだ教科書とノートをしまう。
片付いたテーブルを夜深が拭き、すぐに食事が並べられた。
具沢山のスペイン風オムレツに、ホワイトシチュー、温野菜のサラダ。
彩り豊かなおかずが並ぶ。
「オムレツ、ケチャップがオーロラソースか好きな方で食べて」
2種類のソースを用意したソラ。
夏世はオーロラソースを取り、オムレツが見えなくなるくらいかけた。
加減知らずな様子にソラと夜深は苦笑しながら、それぞれオムレツを取り分ける。
三人は声を揃えて『いただきます』をして、食べ始めた。
「そういえば、今日、生徒会長さんの雰囲気がいつもと違ってたね」
黙々とオムレツを食べていた夜深が思い出したように口を開く。
明香と入れ替わっていた彩香に会ったのだろうか。
「あ、それ、私も思った。何か今日の生徒会長さん、クールだったよね」
「クールっていうか……うん、ちょっと近付き難い雰囲気だったのは確かだね」
夏世の言葉を言い直そうとした夜深は、しっくり来る、言葉が見つからず曖昧に答えた。
並木姉妹の入れ替わりを知っているソラだが、彼女たちの秘密を勝手に話すことはできないため黙っている。
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