第二章 生徒会長の秘密

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「もしかして、女テニのうわさを消すために別のうわさ――七不思議のうわさを流行らせた?」  ぽつりとソラが呟く。 「ソラ君もそう思いますか? 私もです。だから、ふたつのうわさについて調べたいんですよ。でも、ひとりじゃ手一杯で……」  明香には、他の生徒会役員に頼むという選択肢はないらしい。 「今期の生徒会役員の子たちはみんな、内申点目当ての良い子ちゃんばっかりなんです。勿論、私も含めてですけど」  ソラが尋ねる前に、他の役員たちに頼めない理由を話す。  頼めないというか、頼んでも断られてしまうのかもしれない。 「実は彩香にもすこし手伝ってもらっていて、私の秘密を共有できる仲間が欲しかったというのもあります」  明香と彩香が入れ替わっていることを知っているのは現在ソラひとり。 「僕が断ったら?」  ソラの中で答えは決まっていたが、あえて尋ねる。 「その時は私と彩香、二人で調査します。元々そのつもりでしたし、断ってくれても構いません」  何でもないように答える明香だが、部外者である彩香が大きく動けない以上、一人で調べるのと変わらない。 「無理強いはできませんから」 「手伝います」  諦めたような言い方をした明香に、ソラは肯定の言葉を返した。  予想外の答えに、明香はぽかんと口を開けたまま固まる。
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