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第三章 事件のはじまり
夕飯は昨日、夏世がリクエストした生姜焼きだった。
これでもかというくらいマヨネーズをかけた夏世に、ソラと夜深が苦笑を浮かべながらも何も言わない。
「ねえ、アイス買いに行かない?」
いつも通り、食後の皿洗いをしながら夏世が提案した。
「新商品のアイス、抹茶味が結構出てるんだよ」
5月をすぎると、八十八夜のお茶の時期にちなんでか、抹茶味の新商品が多く出ている。
夏世は、テレビのコマーシャルで流れていた抹茶味のアイスが気になったようだ。
「アイスはいいけど、ちょうどシャーペンの芯が切れそうだから私も行こうかな」
夜深も買いたいものがあると席を立つ。
「僕も行くよ」
姉妹だけの夜道が心配になったソラは、一緒に行くことにした。
3人で家を出て、駅とは逆方向に向かって歩く。
最寄りのコンビニまでは5分ほどで着いた。
「アイスアイスー」
自動ドアを抜け、夏世は冷凍コーナーへ一直線に向かう。
一方、夜深は文具コーナーで目当てのものを探しに行く。
特に買うものがないソラは、店内を見て回ることにした。
「コンビニのパンもなかなか安いんだな……」
コンビニのロゴが入ったプライベートブランドの食パンは、スーパーに売っているものとさほど変わらない値段がつけられている。
普段、コンビニをあまり利用しないソラにとってその事実は衝撃的だった。
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