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微妙そうな顔のまま、ソラはテーブルに出来上がったおかずを並べていく。
夏世の前には半熟のベーコンエッグが、夜深の前にはスクランブルエッグが運ばれた。
更に、ご飯と味噌汁が並ぶ。
3人分の食事が並ぶと、揃って『いただきます』と食べ始めた。
「そういえば、桜高七不思議って知ってる?」
ベーコンエッグをぺろりと平らげた夏世が口を開く。
残ったご飯には、よく混ぜた納豆をかけていた。
「七不思議?」
「そうそう。学校の怪談みたいなやつ」
聞き返したソラに答えてから、夏世は納豆ご飯を頬張る。
「いや、聞いたことないけど。まだ5月だし、怪談が流行るには早いんじゃ?」
「確かに、怖い話って夏頃に流行るよね。怪談が好きな人は多いと思うけど」
ツッコミを入れたソラに、黙って聞いていた夜深が同意した。
「そもそも、桜高の七不思議なんて去年はなかったけど」
「だよねー。私もこの間初めて聞いたんだ」
ソラと夏世が顔を見合わせる。
「そうなの? 一年生の間では結構噂になってるよ」
4月に入学して1か月の夜深は首を傾げた。
「そう言われると気になってきた。教えてよ」
今まで聞いたことがなかった噂が気になり、夏世に尋ねるソラだが彼女は時計を見て固まった。
「いっけない、朝練があるんだった! ごめん、ソラ。その話はまた後で。先に学校行くね! お夕飯の片付けは私がやるから、あとよろしく!」
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