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「正確には解離性同一性障害だね。幼少時の虐待経験や心的外傷などで発症する病気だよ。自分と違う性別や性格の人格が複数存在する状態なんだけど」
生徒会長を務めている彼女が、辛い過去を送っていたという話は聞いたことがない。
「きっと、先輩を妬んだ人が噂してるんだよ。って、私達もそろそろ出ないとだよ!」
時計を見た夜深が話を切り上げる。
まだ時間に余裕があるものの、あまりゆっくりしていられないのは事実だった。
残りの洗い物は水につけて帰ってから洗うことにし、ソラは弁当箱をカバンにしまう。
「おにい、早く早く!」
夜深はすでに玄関にいる。
彼女の声に答えるように、ソラはカバンを持って家を出た。
↑↓↑
神奈川県横須賀市――海と山に挟まれた都市にある、桜海学園高等学校。
市街地から少し離れた小高い丘の上にあり、スポーツにも学業にも力を入れている全日制高校――通称、桜高。
ソラたちが通う学校だ。
「七不思議について、私の方でも調べてみるよ。夏世ねえが言ってたから気になってきたし」
「わかった」
ソラは夜深と昇降口で別れ、それぞれの教室へと向かう。
教室に入ると、既に夏世の姿があった。
見覚えのある女子と話している。
「今日の朝練、何で来なかったの?」
「ごめん、ごめん。学校に着いたらお腹が痛くなっちゃって」
「そう……」
そんな会話が聞こえてきたが話に割り込むわけにも行かず、ソラは自分の席に座った。
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