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別れ
祖母が亡くなる１ヶ月前に私に
祖母の過去の話しをしてくれた。
それはありえないお話しでした。
大知と祖父と私の祖母は
その昔の恋に落ちていたそうです。
そう将来を誓い合うそんなファンタジーな関係だった。
でも、私の家は貧しくて裕福な家庭の次男との
縁談話しがあり、その人を婿養子として迎え
家系の援助をして貰う親同士の進めで、結婚を
したと言う。
勿論、二人は反対したけど、昔は親の言う事には
口出し出来ないのは当たり前でした。
二人の思いを打ち明けても反対され無理矢理
引き裂かれ、
それでも二人は駆け落ちも考えたそうです。
祖母の家の事もあり結局、別れてしまった。
大知の祖父もしばらくするとお見舞い相手と結婚しその後は普通に近所付き合いしていたそうです。
二人の思いより家の事などが優先する時代なので
お互いの道を選んでしまったけど、今となっては
淡い恋の遠いお話も思い出になってしまった。
時が経ちそんな二人の関係も年と共に風化して
仲の良い近所付き合いになって行ってしまった。
だから親同士が仲が良く親戚以上の交流が出来たのも
そんな祖母と大知の祖父の関係があったらこそ
自分達が居るのだと思った。
祖母は私に何が大切な物かを教えたかったのでは
ないのか
大切な人は一緒に居られなくても
何時も見守ってくれてる
それは叶わぬ恋も同じだと、
祖母がぽつりと言ったのを忘れられない。
莉菜ちゃんと大知ちゃんを見てると私の若い頃と同じ
ただ私は家の事情で一緒になれなかったけどね。
貴方達は違う。
大知ちゃんは莉菜をちゃんと見守ってくれてる
大切な人だから ちゃんと向き合っていかなければ
駄目よ。
変な意地なんかはらないで素直になってね。
大切な人が遠くへ行かない様に手を離しては駄目よ。
祖母が私に残した最後の言葉でした。
祖母は2日後に大知の祖父の元へ行ってしまった。
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