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②
カレーが出来上がってテーブルに俺の前と男の前にひとつずつ置かれた。
だが俺の分のスプーンはなくて、俺のスプーンは? と視線で問うたがスルーされた。
「はい、ではいただきます!」
両手を合わせて元気よくそう言うと何を思ったのかカレーをすくって俺の目の前に差し出してきた。
「はい、あーん!」
「――――!?」
「だって、利き腕使えないじゃん。だから、あーん」
そう言うと男はにやりと笑った。
そしてなぜか楽しそうにしている。
ぱくり、と差し出されたカレーを食べると男は「え?」と驚いた声をあげた。
予想外の行動だったんだろう。
もぐもぐと数回咀嚼してごくんと飲み込む。
「次」
ぱかりと口を開けた。
「あ、はいはい! あーん」
何度もそれを繰り返す。
食事の間中、この男はずっと笑顔だった。
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