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③
餌付けのような食事時間が終わると男は言った。
「さて、お風呂でも入る? 洗ってやるぜ? にしし」
風呂……裸…………。
俺はこの男の目にれいのものをみつけてしまいたくなくて。
男の方を見ないでこくんと小さく頷いた。
脱衣所で服を脱がされ腰にタオルを巻いてくれた。
男はずっと何か呪文のような言葉をぶつぶつ呟いていたけど、気にならなかった。
「そこ座って目つぶってなー」
俺は言われるがままバスチェアに座り目をつぶる。
温かいシャワーが優しく俺の髪を濡らした。
そして両の手で温めたシャンプーっでわしわしと洗われた。
人に頭を洗われるなんて初めての経験だった。
男の手つきはどこまでも優しくて少し鼻の奥がツンとなった。
身体を洗う時は少し怖くて身を固くしたが、相変わらず変な呪文は聞こえてきたがただそれだけで、丁寧に洗われた。
俺の心はふんわりと温かい何かに包まれている気がした。
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