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「植物性少年悲劇」
硬い種を持つ青い果肉
薄い表皮に指先触れて
君の痛みを放流し
その激情に静寂の薬品を掛ける
白い炎が鎮火される日
背伸びをして高い場所へ行かなくてもいい
バベルの塔へ登った大人の過ちを犯すつもり?
それよりも
君にはパンドラの匣がよく似合う
光の束縛と闇の中にある高潔に気付くまで
無理に光合成をすることはないから
矢車草に似た透明な悲哀
染井吉野の雨に打たれた
凌霄花の死
或いは
剥離したトタンの壁に映る枯れかけた向日葵の誘惑
動揺するのは植物から生まれた少年の悲劇
死を羨望する君の虚ろな瞳の底を歩いている
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