あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!

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「ありがとう。これでだいたいのことはわかったよ。」 分かったとはいっても、たいしたことは書いてない。 本当にこんなので良いのかな? 「あ、あの… うちは本当に普通の庶民ですが、大丈夫なんでしょうか? お父さんはそんなに有名じゃない会社の課長で、お母さんはパートに出てて、家はありきたりな建売住宅で、先祖にもたいした人はいませんし…」 東條さんは、私の話にくすりと笑った。 「だから…そんなことは関係ないって。 本当はね、僕は能力主義なんだ。 だけど、今回は僕のミスに対するお詫びだし、幸い、君は事務希望だから。 事務歴は長いの?」 「え、約5年です。」 「5年か…まぁ、普通だね。」 「は、はい。私、昔からなんでも普通なんです。 しかも、名前まで『ナミ』ですから。」 「え?あ…そういう意味か!」 東條さんは、明るく笑った。 でも、私にとってはコンプレックス。 頭も見た目も家庭環境も、特に悪いってわけではないけど、でも、良いってわけでもない。 私はなんでも平均的。 人に誇れるようなものは、何一つなかった。 (あ……) でも、これからは違う。 このビルで働いたっていう職歴が付くんだ! (夢みたい…!) っていうか、もしやこれは夢?? でも、夢じゃなかった。 すごく綺麗な女の人が来て、お給料のことやら仕事のことやら、いろいろ詳しく説明してくれて…
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