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オーダーしてくれたのは、お任せのランチのはずなのに、まさかのコース料理。
しかも、いかにも高そうなワインが最初から付いてきたし、キャビアだのフォワグラだの、高級食材が次々出て来るし。
緊張感は高まるけど、どの料理もとても美味しい!
「あ、僕、東條樹生。
君は?」
「え…た、田中奈美です。」
カッコイイ人は、名前もカッコイイんだね。
それに引き換え、私は名前も平凡だ。
「さっきは本当にごめんね。
スマホを落として取ろうとしてたらあんなことになって。
でも、無事で本当に良かったよ。
どうもありがとう。」
「い、いえ。なんともなかったのに、こんな豪華なランチをご馳走様していただいて、申し訳ないくらいです。」
「……豪華って…」
「え?」
「やっぱりダメだよね。
こんなランチくらいじゃ、お詫びにもならないよね。
ねぇ、はっきり言ってくれないかな?
僕はどうすれば良い?」
「え??」
一体、何を言ってるんだろう?
私には皆目わからなかった。
「……いくらなの?」
「え?な、何がですか?」
「だから、お詫びの金額だよ。
はっきり言ってくれないかな。なんなら、弁護士を立てようか?」
「……え?」
私は、体が小刻みに震え出すのを感じた。
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