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なんだか無性に腹が立った。
こんなお店に連れて来るくらいだし、あの車や身に付けてるものを見ても、この人はどう考えてもお金持ちだ。
それに引き換え、私はごく一般的な庶民。
きっと、そんなことはこの人もすぐに見抜いたと思う。
だから、ナメてるんだ。
金さえ渡せば、どんなことだって解決出来ると思ってる。
そのことがどうにも癪に障った。
「き、金額って…何度も言ってますが、私は車に当たってませんし、お詫びなんて…増してやお金なんていただこうと思ってません!」
私はそう言って、東條さんを睨み付けた。
「でも、お金が一番手っ取り早いし、わかりやすいじゃない。
それとも何か他にある?」
その言葉にますます腹が立った。
やっぱりこの人は、お金さえあればなんでも出来ると思ってる。
(そうだ!)
私はあることを思い付いた。
多少のお金があっても、なんでもそう簡単に出来るわけではないってことを思い知らせてやる方法を。
「じゃあ、私の夢を叶えて下さい!」
「夢?」
東條さんの顔が暗く曇った。
この人、意外と頭は良いのかも。
他人の夢を叶えることがそう簡単じゃないことくらいはわかってるみたい。
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