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「良かったよ、叶えられる夢で。」
「……え!?今、なんて…」
「君は今、無職なの?」
「は、はい、そうですが。」
「じゃあ、明日から来る?
あ、この後、早速、オフィスを見ていく?」
えーっと…どういうことかな?
今の話じゃ、まるで、私をこのビルで働かせてくれるみたいな口ぶりだったけど…
そんなわけないよね。
身元を調べれば、うちがたいしたことない血筋で中流家庭の者だってわかるし、セレブの知り合いもいないし、もちろん、高額な寄付なんて出来ないし。
東條さんは、黙って食後のデザートを食べている。
あれ?冗談のつもりかなにか?
それとも忘れたふり??
意外といい加減な人なのかな?
私は東條さんの様子をチラチラのぞき見ながら、デザートをたいらげた。
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「は、はい。」
お会計はいくらかわからなかったけど、きっと高いはず。
こんな高級なお店だもん。
ちょっと嫌な人ではあるけど、それは感謝しないとね。
「ご馳走様でした。とても美味しかったです。」
出てきた東條さんにそう言うと、東條さんは一瞬驚いたような顔をして、そして微笑んだ。
あれ?この人、意外と優しい顔して笑うんだ。
ちょっときゅんと来てたら、また私は手を掴まれていた。
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