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平穏な日常が戻って来た。
しおんが夜道を歩くことにも心配しなくていい。安心して遊びにも行かせられる。
ツアー前の最終ゲネプロの為に、スタジオに入る。
「おはよー」
「おはよー…って、お前それどうした!?」
和馬の顔を見た雄貴が、声を上げる。
「久々に闘ってきたわ」
「あのやべー奴か」
「大したことねぇんだけどさ、しおんが貼っとけって」
左頬は直後に少し腫れたが、今はもう痛みもない。が、しおんが心配して湿布を剥がすことを許さない。
仕方なく、3日後の今日もこの状態だ。
「で、どうなった」
「もう大丈夫だよ。お前にも心配かけたな。サンキュー」
「そんなら良かったわ」
雄貴は和馬の肩をぽんぽんと叩く。
「おつかれさん! じゃ、とっととスタンバってくれ」
言いながら、手元の紙を和馬に渡す。
「今日、War Cryもやるから、思い出しとけな」
「うえ、あれやんの!?」
随分長い間プレイしていない、しかもヘヴィな曲を持ち出したものだ。セッティングの調整をしながら、必死に思い出そうと頭を巡らせる。
ツアーはもう、週末からだ。
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