8人が本棚に入れています
本棚に追加
1
明るく陽の光が射し込む、大きなガラス窓と白っぽく洒落たインテリアの美容院。
和馬はそのドアを開け、受付カウンターにいた女性に、杉山に会いに来たことを告げる。
彼女は和馬から名前を聞くと、店内にいた杉山を呼んできてくれた。
杉山は、和馬が美容師として働いていた頃の最後の後輩で、今でも時々連絡を取り合う仲だ。
「お久しぶりっす、先輩」
「忙しいとこ悪ぃな」
平日の昼下がりとあって店内はそれほど混んではいなかったが、店長代理の杉山は自分の客とスタッフたちの管理で、それなりに忙しいだろう。
「大丈夫っす。あ、でもちょっと待っててもらえます?」
「おう。待たせてもらうわ」
「あと10分くらいで手空くんで」
杉山はそう言って待合の椅子を和馬に勧め、受付の女性に声をかけてお茶を出すように指示を出す。
椅子に座り、コーヒーを出してくれた彼女に礼を言う。それから、持参した道具を取り出してあらためる。
最初のコメントを投稿しよう!