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プロローグ
先輩は決まって、帰り道で私に言った。
「今日もいい日だったね」
晴れの日も、曇の日も、雨の日も。
暑くても、寒くても、風が強くても。
授業で必ず使う電子辞書を忘れた日も、道端の花に見とれて電柱にぶつかった日も、親友からアホだと罵られた日も。
笑った日も、泣いた日も。
どんな日も。
私にとっての“いい日”の理想が高すぎるのか、私からすればどこがいい日だったのかさっぱり分からない日も多かったけれど、私は決まって、先輩の言葉に、「そうですね」と答えた。
そのたびに先輩は、満足そうに微笑んでくれた。
それが魔法の言葉だったのか、それとも、先輩と過ごす時間が増えたからか、いつの間にか、私の毎日までキラキラと輝いていったんだ。
でも、私といる先輩の日々が輝いていたのかは、分からなかった。
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