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「悪いな双葉、彼女はまだ僕の手伝いがあるから」
沼地先生は、疑われることなくピンチを脱出し、梨子も告げ口はしないと思ったのだろう。梨子が答えるのよりも早く、ピシャリと言った。
沼地先生が窓を閉めようとするのがわかって、さっきまでの恐怖からうまく声の出せない梨子は慌てて立ち上がろうとした。
けれど、生徒会長は窓が閉まらないよう手で押さえ、笑顔は崩さずに言う。
「ぬまっち。梨子ちゃん、実は俺の彼女なんだ」
(……えっと)
「は、双葉、急に何を……」
生徒会長の言葉には、心なしか棘があって、沼地先生が怯んだのがわかった。
「ね? 梨子ちゃん」
梨子は、戸惑いながらも深く頷いた。この機会を逃したら、また沼地先生と二人きりになってしまう。
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