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1. from: Roderick
※あらすじ欄の注意書きをご一読ください
出先で霧が濃くなってきたので、カフェの中へと避難。眠気覚ましの紅茶を片手に、仕事用のノートパソコンを開く。
同じく仕事用のメールアドレスに、新しいメッセージが届いていた。
"title: About the interview.
from: Roderick〈Rod430@GGmail.kom〉
2019/06/03 15:12"……
***
そろそろ、はっきりと伝えておく。
お前には悪いが、これ以上「敗者の街」について話すつもりはない。
ただ、読ませてもらった草稿はまあまあ面白かった。
そのまま記事にしても、俺としては特に構わねぇよ。採用されるかどうかは別だろうが。
……なあ、オリーヴ。まさかとは思うが、お前……
死んだ恋人に会いたいなんてこと、考えちゃいないだろうな?
……いいや、この話はやめておくか。
お前が記者だからでも何でもなく、友人として本音を言う。
辛いなら話ぐらいはいつだって聞いてやる。
記事に困ったなら、一緒にネタを詰めてやったっていい。
悪いことは言わねぇ。妙なことは考えるな。
***
ノートパソコンを閉じ、大きくため息をつく。
根拠のない、荒唐無稽な考えだって、自分でもよく分かっている。
……それでも。
──死にたくない
絞り出したような掠れ声を覚えている。
──まだ、死にたくないんだ
消え入りそうな慟哭を覚えている。
……「彼」を失った痛みは、今もなお忘れられない。
もし、本当に死者の「街」が存在するのなら、私は……
行きたい。
なんだっていい。
もう一度だけでいい。
……あの人に、会いたい。
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