僕の最大のワガママ

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ガチャガチャ 何かの音で目が覚めた 目が覚めても、風景は変わらないままだった どうやらまだ僕は夢の中にいるようだ 良かった、夢の中で。 僕は音の聞こえる方へ顔を向けると紫色の尖った帽子を被り、紫色の服を着て箒を持っていた年配の存在と目があった 「おや、音で起こしてしまいましたかの?眠りを妨げるつもりはなかったのですが…包帯を変える時間になりましたので少し身体起こさせていただきますじゃ」 年配の存在は服の懐から取っ手の方に宝石の付いたステッキを取り出し青や緑や赤が混ざったような四角い光線を僕に放てば僕は軽々と起こされてしまう 「凄いな……アンタは魔法使いなのか?」 「そうじゃが、Jr.様は魔法見るのが初めてですかな?」 僕が質問すれば年配の存在は軽く返事した後首を傾げながら僕の身体の包帯を解いて、新しい包帯を先ほどの魔法でまた巻いていく 「傷に触れないようにしてますが、痛い所はありませんか?」 「痛い所はない…」 本当に痛い所はどこにもなかった。 手当をされた事なんて一度もなかった 体の痛みはまだあったが、胸の中に生まれるこの温かい正体が嬉しいという意味だと僕はまだ分からないでいた。 「僕がここにきて手当をしてくれたのはアンタだったのか?」 「いえ、最初に貴方を見つけて手当までしたのはクッパ様ですぞ、Jr.様」 年配の存在はステッキを仕舞えば僕を起こしたままある物をつけてくれた あのクッパと名乗る大きな存在がつけているような甲羅だった つけられるとそんなに重くはなかったけど…頑丈そうだった 「これは?」 「クッパ様がJr.様にと。これをつけていればJr.様が何かに襲われてもこの甲羅が守ってくれますぞ」 僕は甲羅に触り、クッパの事を考えた どうしてここまでしてくれるのかを… 普通に考えれば、赤の他人(しかも子供)に名前を与えて、怪我を手当して、身を守ってくれる防具をくれるなんてしない。 しかも、お礼とかはいらないって優しすぎにも程がある。 「僕にここまでしてくれても得なんてないだろう…」 そう呟いていた。 その呟きを年配の存在は聞いていた。 「損得の問題ではないんですぞ、Jr.様。それがクッパ様なのですじゃ」 年配の存在はクッパの存在の事を語る時は尊敬、憧れの気持ちで話していた。 「クッパ様は小さい頃から困っているカメ族、はぐれ者にされたテレサ族、キノコ王国で裏切り者扱いされているクリボー族にも自らの足で赴き手を差し伸べ自分の配下にしていますのじゃ。そして、配下に加えた者をクッパ様は蔑ろにしないであの背中で一族一族全て守っていますのじゃ」 話を終えた年配の存在は、うっとりとしていた。まるで年配の存在がクッパに恋をしているような……深いことは探らないでおこう。 そして、年配の存在は朝食をとってくるため僕のいる部屋から退室した。 「………あの、年配の名前聞くの忘れた」 まぁ、あとで会った時にでも聞けばいいか。 というか、昨日のことと言いこれは実にリアルな夢だと僕は思う。 覚めない夢の中にいるという事は、実際の山の中で捨てられた僕は死んでしまっている これは、死んでしまった僕が望んだ願いが夢となって現れた世界。 そう僕は過程してみた。 「望むんだったら、この痛む身体じゃなくて成長して筋肉ムキムキの身体が欲しかったなぁ」 「そうするには先ずその怪我を治すことだな、Jr.よ」 ついボソッと言った呟きが、朝食を2人分持ってきたクッパに聞かれてしまい僕は驚いた。 「い、いつの間に……さっきの年配の奴が持ってくると思ってた」 「年配?あー、カメック婆の事か…」 年配の存在はカメック婆と言うらしい。 クッパは僕が寝ているベッドの横に座り朝食を置いた。
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