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僕とクッパは城の外…森の中で歩いていた。
さっきからクッパは一言も発していなかった
僕が顔を覗くと、クッパはつり上がっている眉を下げてとても疲れているみたい
僕は疲れてるクッパから降りようと声をかける
「ね、ねぇ…僕歩くよ。少しくらいなら大丈夫だから」
だけど、クッパは僕を降ろさず僕の方を見上げる
「気にするな…そして、我輩に気を使うな。我輩だってなにも考えてないわけではない。ただ、どうしても我輩の条件に当てはまる子どもがいないのだ」
「どんな子だったら後継にしてもらえるの?」
僕の質問にクッパは立ち止まり僕を近くにあった岩に置き、クッパも隣に座る
「我輩の城を見て城の部下達を恐れないこと。あと、親がいない事だな…他にはだな…」
「親がいると何かあるの?」
「子どもが親に郷愁を感じてしまうのだ。幸せに育てられれば育てられるほどな」
僕はその言葉でクッパが言いたいことが分かった。
あの資料に載っていた子どもたちはとても幸せそうな表情をしていた。
それは、親に愛されたから。親に愛されて育てられた幸せな子どもが知らない城でまた教育されてしまえばその子どもと親の繋がりを引き裂く事になる
全部が全部そうじゃないとしても、そうなった事で引き裂かれた子どもが寂しいと思わないかと考えればクッパは養子を受けいれられないと僕は考えた
「だが、親がいない子どもが我輩と同じような力を求めて教育してもその子どもの負荷にしかならん…そう思うとまた頭が痛くなるのだ。我輩は考えて動くより感じて動いた方が好きなのだがな」
クッパが苦笑しながら言った
なんか大魔王って言うけど、今僕の隣にいるのは慈悲が溢れている男の姿
こんなに子どもの事を考えてるクッパが僕の親なら僕はこの人の役に立ちたいと思う。というかなれる。
僕なら城の部下を怖がったりもしないし、魔王になるというプレッシャーも負荷にならない。でもなれない…だってこれは僕の夢
「夢の中じゃなかったら、僕が後継になれるのにな…」
「夢?」
しまった、思わず声に出していた。
でも、声に出しても夢なら消えてしまう。
だったら、思ってた事をクッパに伝えよう
「これは、僕の夢の中なんだ。現実の僕は親に捨てられた。山の中で崖から落とされたんだ。そして、意識がなくなってる状態なんだと思うんだよね。だから、僕の意識が現実に戻ってしまえば僕はこの夢の中からいなくなる」
それは同時に僕が死ぬ事を示されている
死ぬ間際に見せてくれている僕が望んだ夢の中
夢の中で色んなはじめてをくれたクッパに今の内に感謝を言おう
「きっと、夢が覚めたらここで起こった事やあった事全て忘れちゃう。だけど、言わせてほしいんだ。夢の中じゃなかったら僕がここの城の後継になりたいよ」
「Jr.お前……」
「名前をくれてありがとう。怪我治してくれてありがとう。温かいご飯ありがとう。一緒にいてくれてありがとう……」
僕はクッパに感謝の言葉を告げた。
言いたいことを言った後はスッキリする。
もう、思い残す事はない
後は夢から覚めて死ぬだけだ。
でも……でも…僕はワガママなんだよね。
自己中なんだよね。
まだクッパに伝えたい事、してほしいと思う事1つだけあるんだ
それを言ったらクッパを困らせてしまう。
だから、我慢する
「それは、困るな
先ほどJr.は我輩の後継になりたいと言ったのにそのまま夢から覚めてしまうのはな」
クッパが僕と顔を合わせた
って、へっ?
困るって言われても…
「だから、Jr.にこれは夢ではなく現実という事を気づかせてやらねばならん」
クッパは僕を肩に乗せて、そのまま森の奥へと歩いていった
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