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1.中島沙耶(GK)
「SA--YA~」
クレアが駆け寄って来て、私にハグする。
随分と娘らしくなった。
ティーンエイジの頃体の至る処にピアスを付け、エレノアや私に反抗してたのが嘘の様だ。
クレアと知り合ったのが、彼女が幼少期。
私がエレノア、エリーと付き合い始めた頃だ。
付き合い始めたとは言っても、海を挟んでの遠距離が数年続いた。
その頃の私は、クレアにとってママの学生時代のお友達、位なポジションだった。
今でこそLGBTQがマイノリティではなくなり、各国とも一定割合増加し差別を受ける事は少なくなったが、依然として性の主流は異性愛だ。
私も自分が異性愛者だと思って育ってきた。
只、同級生の女子が運動してる時に見せる筋肉の躍動感。
街を歩いた時にすれ違う女性の骨格の美しさに、目が奪われる事は度々あった。
「久しぶり!エリーに挨拶した?今日は夜勤だって言ったけど」
庭いじりしてた私は、土汚れがクレアに付かないよう抱き返す。目だけ動かし、家屋を示す。
「ママに挨拶したよ」
彼女は腕を解き、さっきまで私が手入れしてた花壇を覗き込んだ。今日はボーイフレンドを連れて来るって話だった。
「彼は?」
「ママに捕まってる」
私は手袋を取り、麦わら帽子を脱ぐ。
「さて、助けに行きますか」
「ふふっ。イーサンったらSA--YAのお眼鏡に適うかしら」
クレアは私の腕を組み、家の中に向かう。
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