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久しぶりに出会った彼女は、やつれていた。
学生の時感じた、品の良いお嬢様然とした雰囲気が失なわれていた。仕事と生活に疲れている感じだ。
私も最初会うつもりはなかった。
出張先がたまたま留学中住んでた街の近くだったので、卒業以来ご無沙汰だった下宿先のホストマザーのたジェシカと連絡をとり、足を延ばした。
歓待してくれたジェシカは、ついでに
「貴女とルームメイトだったエレノアも、未だこの近くに住んでるわよ」
と教えてくれた。
更にエリーが同じインターンだった医大生と結婚し、子どもが出来たが別れた事。そして今、母校の附属病院で働いてると話してくれた。
エリーとは卒業後しばらくは、近況を語り合っていた。
新人として悩み、恋愛事情、共有出来る事があるうちは、距離が離れても阿吽の呼吸で分かり合えた。
しかし仕事が忙しく、面白くなってくるに従って無精になっていった。
親友だから、いつか又連絡取り合えば、長い不義理も許してくれるだろうと甘えた。
その間に彼女の環境が激変したのも知らず。
考えた末、以前彼女が使っていた連絡先に会いたい旨を入れた。これで返信がなければ勤務先に行くか、諦めるか悶々とした。
彼女が大変な時、何某かの手段を講じて寄り添っていなかった自分を恥た。
商談がまとまり帰国の前日、返信がきた。
今夜なら会えると。
そして訪問先に指定された住所は、下宿先から程近かった。
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