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チャイムを押し、招かれたアパートの階段を登った。
部屋のドアが開き、卒業式より少し老けたエリーが出てきた。
「ハーイ」
私は努めて明るく振る舞った。
「沙弥!」
彼女は、ハグしてきた。
「久しぶり!元気?わっ」
エリーの背後から小さな女の子が走ってきて、勢い良くエリーに駆け寄った反動で、彼女からハグを受けてた私にも衝撃が及んだ。
「こらっ!クレアったら、ママのお友達ビックリするでしょ」
小さな女の子は、エリーの脚にへばりつき、私から顔を隠す。
「今晩は!クレア!私はママの親友のSAYA・Nakajima宜しくね」
クレアの目線になる様、しゃがみこんで挨拶した。
「入って。クレアがオモチャを散らかしてるけど」
目と目が合い恥ずかしかったのか、クレアはエリーに思いっきり抱きついたと思ったら、ダッと部屋の奥へ駆け込んだ。
「散らかしてないもん!クレアの宝物、おきゃくさんに見せるんだもん!」
奥から可愛らしい声が聞こえる。
「…元気だね」
「お陰で頭が痛い時もあるけどね」
2人で笑い合い、ダイニングキッチンに移動する。
「いつまでいられるの?」
「明日の夜の便で帰る」
「まぁ!もっと早く連絡すれば良かった…ごめんね」
エリーは私に席を勧め、お茶の準備をする。
ハーブティーの香りが漂う。
彼女が学生時代から飲んでいた懐かしい匂い。
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