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「ジェシカから聞いた?」
「ん、まぁ大体」
改めて室内を見渡すと、こじんまりしてるが居心地が良さそうな空間。相変わらずセンスが良い。
私にお茶をサーブしに来たエリーを見上げ、
「離婚原因は?」
エリーは向かいの椅子に座り視線を少し外した。
「思ってたのと違うって感じたみたい、ビルは。責任感で結婚したのだろうけど、続かないわよね、そういうのは」
「……」
「それに彼は、大学病院勤務じゃなく開業医になりたかったのよ」
「で?子どもをエリーに押し付けて離婚したと?」
「だってしょうがないじゃない!実は故郷に良い人がいて、それも開業医の娘だなんて聞いたら…」
涙ぐむ彼女の手を握る。
彼女は、こんなに脆かったっけ?
優秀揃いの医学部に在籍し成績は常に5本の指に入っていた。
なのにお嬢様っぽい雰囲気を醸しだしている彼女に、何人の学生が悩殺され尻込みしていったか。
ルームシェアしていた私だから分かる彼女の表と裏。飄々としている様で凄い努力家。で、せっかち!
そこに玩具を両手に一杯持ってきたクレアが
「ママをいじめないで!」
と顔をしかめた。
テーブルにぬいぐるみやらオモチャのティアラやらを置くと、エリーにしがみついた。
「…大丈夫。ママは、このお姉さんの事が懐かしくて泣いただけ」
「そうなの?」
クレアは懐疑的に母親と私の顔を交互に見る。
「そうよ。久しぶりに会ったからね!ところで、それ何?」
彼女の関心を逸らすと、一つ一つのオモチャにまつわる物語を語り始めた。
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