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水族館の初デート
その人と2人で水族館に
行く途中に自己紹介しあった
「木村愛奈
と言います」
「甲斐紘一です」
紘一さんは、ゲームプログラマーなのだという。
「オタクだと思っただろ。でも
結構、大変なんだぞ」
と笑う紘一さん。黒縁メガネの奥の目が優しい。
「私は、印刷会社の事務で。DTP
(デスクトップパブリッシング)とかパソコン
使うことが多いです」
仕事でパソコンを使うっていう共通項が
見つかったところで水族館に着いた
「あ、チケット代払います」
「このくらい、カッコつけさせて」
と言って、払ってもらってしまった。
初デート(?)なのに
「きれ~」
水槽を泳ぐ魚を見て私がつぶやくと
紘一さんは
「バスの中で僕に全然気づかなかった?」
こくん、と頷くと
「いつもすぐ後ろの席にいたのに」
といたずらっぽく言う紘一さん
「声をかけてくれればよかったのに」
「彼がいると思ったから」
ズキン、かすかに痛むハート
「両思いだと思ってたんですけどね」
「・・・さぁ、イルカショーに行こう」
行ってみたら、もう観客でいっぱいで
「次の回まで待つしかないね」
その回が終わるのを待って、
前から5番目の席を確保した
「水に濡れたいなら、もう少し前に」
と笑う紘一さんに
「いや・・・お気に入りの服なんで」
と引き気味の私
「次の回まではまだ2時間あるから、
よかったら僕、ここで待ってるよ。
色々見ておいで」
「いえ、紘一さんと一緒にいたいです」
えっ、という顔をする紘一さん
ボッと赤くなる私
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