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 気がつくと、康二は駅の中にいた。 周りを見渡すと、相当に大きな駅だ。  エスカレーターが何本もあり、多くの人が往来している。大都会の駅よりも大きい。  ところでさっきまでバイクで走っていたはずだったんだけど、ここはどこだろう? 聞けそうな人を探すしかないか、とりあえず改札口にいた駅員に聞く事にした。 「あの、すいませんここは何処なんですか?」  駅員はしばらく考えてから、 「ここは現世とお別れする駅、黄泉の国駅ですが」 「何冗談言ってるんですか?ホントはここどこなんです?」  康二は駅員がドッキリかモニタリングでもやってるのかと思った。  しかし、徐々にそうではないとわかり始める。 「お客さん、ご自分が亡くなられた事をわかっていませんね。多いんですよね、そういう方」  駅員はそう康二に説明した。続けて 「ご自分が亡くなられたのが信じられないなら、今一度現世へ戻る事ができますよ。ただし、誰にもみえませんし誰ともしゃべれませんがね」  と言うと、券売機の方を指差した。 「どうぞ切符を」  康二は券売機の方に向かうとお金を持ってない事に気がついた。  どうしようかと悩んでる矢先に券売機が勝手に作動した、切符が勝手に出てきたのだ。  切符には、黄泉の国→現世としっかり書かれてある。改札口に持っていき駅員に渡すと、 「10分後に発車です」    そう言うと切符に穴をパチンと開け改札口を開けてくれた
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