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自分の葬儀
駅のホームに入って列車を待っていると、えらく古い型の列車がやってきた。
とっくに現役引退したような古い型の電車だった。電車がつくと康二は乗り込んで席に座った。
「次の停車駅は〜うつしよ〜現世〜」
アナウンスが鳴ると電車は動き出した。それが不思議な風景に康二は驚く、なんと電車は空の上を走っている。星空の真っ只中を走っている。
キラキラと光る星空がとても綺麗だ。5分か10分走っただろうか?
「現世に到着します。お降りの方はお忘れ物のないようお願いいたします」
「おっと降りないとな、どうなってんだろ?俺んちは」
康二は現世駅のホームに降りた、しかし黄泉の国駅と違って現世駅はまるで田舎の無人駅のようだ。駅員が、
「もしも帰り道に迷ったら現世駅を思い浮かべて強く念じてください。現世駅にたどり着けます」
とアドバイスをくれた。早速駅から出て自宅へ向かう。自宅の近くに着くと、黒い喪服を着た人たちがたくさん居て、そしてその跡をついて行くと….
父と母が受付をしている。そして家の中に入ると、棺の前に自分の写真が飾られている。間違いなく
「オレだオレの葬式なんだ」
信じられないが、康二は現実を受け入れるしかなかった。葬儀が行われた後、父と母が部屋に入って話し合っている。
「康二、なんでだ、なんでだよ」
「だからバイクは危ないって母さんあれほど言ったのに」
泣きながら、二人は話し続けた。康二は側にいる。もちろん、見えないし話もできないが....
「オヤジ、お袋、ゴメン」
康二もまた、泣きながら二人に謝った。
どうやらオレはバイクで事故ったらしい、クソっ、まだオレ18だよ、全部これからだったのに!
康二は悔しかった。まだ彼女もできていなかったこと、通っていた高校を卒業できなかった事、何より親より先に死んでしまった事。
康二は途方に暮れたが、駅員の言っていた事が紛れもない事実だと知って、現世駅に戻る事にした。
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