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黄泉の国駅からの発車
黄泉の国駅に戻った康二は、常世に向かうため、切符を買った。
と言っても、ここの切符はもちろんタダ、無料である。
黄泉の国→常世と書かれた切符を持って改札口を通る。
ホームに行くと、沢山の人が同じホームに並んでいる。みんな行き先は同じだろうか?
気になる..... 電車に乗ったら聞いてみよう。アナウンスが流れる,
「黄泉の国線下り列車常世行き、もうすぐ発車します。」
電車に乗って席に着く、向かい側に来たのは、やはり若者でギターを担いでいた。
電車が発車すると、向かいの若者に聞いてみる。
「オレ、堤、堤康二、名前聞いてもいい?」
馴れ馴れしかったなかなぁ?心配していると、
「オレは海藤 剛士、タケでいいよ」
フレンドリーに返ってきた。良かった!いいヤツみたいだ。
「タケ、行き先はどこ?オレは常世」
「ああ、オレも常世だよ、生まれ変わるんだろ?オレ達」
タケは同じ18だった、同い年だけあって、話も良くあった。
「ヒデトのコロンっていい曲だよね」
「お、イイねぇ、オレ弾けるよ」
席の横に置いていたギターを取り出すと、弾き語りを始めた、そうそうこの曲アルペジオからはじまるんだよね。
しかしタケはギターが上手だ、2人でハモって遊んだりした。
演奏が終わると他の乗客たちが拍手してくれた。ふと、窓から外を眺めてみる。
星空がとても綺麗だ。
「窓開けてもいい?」
「うん、ちょうど開けて欲しかった」
窓を開けるといい感じの微風が入ってくる。夜を走っているからだろうか、一種独特の解放感がある。
「あっちに見えるのがこと座のベガ、あっちがわし座のアルタイル、そしてアレが白鳥座のデネブ」
「詳しいねタケ」
「夏の大三角形ぐらいわかるだろフツー」
いや、オレがわかるのはオリオン座ぐらいのもん、タケ君尊敬します。
「バイクの名前なら詳しいんだけどね」
「康二ってバイク乗ってたんだ、何乗ってたん?」
「ゼファー400」
「おお!ゼファー、カッコいい」
「事故で潰れたけどね」
他愛のない会話が続く、でも、友達と仲良くなるには、この他愛のない会話が大切なんだ、正直嬉しかった。
タケにもここに来る気の毒な理由はあったんだろうけど、タケが居てくれたおかげで生き返った思いだ。
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