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俺のそんな姿を見て、お母ちゃんは「ありゃま」と言って可笑しくなったのか笑い出した。俺を家の中に入れて、とりあえず脱衣場に行くよう指示されて、そこからお母ちゃんの言いなりだった。
「とりあえずシャワー浴びなさい」
そう言われて浴室に入りました。
こんな時間からシャワーを浴びるなんて人生初だった。窓に映る空は明るくて、変な感じがした。
全身でシャワーを浴びて、ボディソープをとても出して身体中につけた。何か憑りつかれた物を全て取り除くように必死でゴシゴシと洗った。
臭いにおいからドンドンボディソープの甘い香りにかわっていっても、それでも必死で洗い続けた。洗い続けながらも、頭の中では、神戸プリンとお母ちゃんの事で頭がいっぱいだった。先程まで学校のみんなにバレるかバレないか頭がいっぱいだったのに。
「パンツ置いとくね」という声が脱衣場からした。
正直に言おうと決心した。
俺は浴室から出て、パンツを履いて、お母ちゃんのとこにいった。
「母ちゃん、ごめん。本当にごめんなさい」
「え、どうしたのよアンタ」
お母ちゃんは引き出しから服を取り出していて、その手を止めた。
「母ちゃんが楽しみしてた神戸プリンを……食べたの俺」
俺は俯いて顔が見れなかった。沈黙が漂った。
すると、お母ちゃん声に出さずお腹を抱えて笑った。
「アンタ、そんなことで怯えてたの?ホント馬鹿じゃないの、もうやめてよ」
「だって母ちゃん楽しみしてたから。だから罰が当たって漏らしたんだって」
俺は鼻を啜りながらひくひくしながら言った。
「そんな事で怒らないわよ。むしろ何でそんなことが分かってるのに食べるのよ」
「だって美味しかったから」
それを聴いたお母ちゃんは腰に手をやって、
「じゃあ、タダシ!今から学校に戻らなくていいから、そこのコンビニでも行ってプッチンプリン買ってきてよ」
その言葉を聴いた瞬間、俺はお母ちゃんがより一層好きになった。お母ちゃんが親で良かったと思った。
「お母さんが学校の方に電話しとくからさ」
俺はお母ちゃんから小銭を貰った。
「え、漏らすってばらすの?」
「さぁ、どうだか。5分以内で買って来れるなら、言わないでおこう」
「行ってくるよ!」
俺は即座に出されたシャツと半ズボンを着て玄関に向かい、靴を履きドアを開けて家から出た。
陽射しは相変わらず強くて、暑かったけど、右手に小銭を握りしめたまま俺は急いでコンビニまダッシュした。汗がもう身体が滲み出てたけど、そんなの関係なかった。
お母ちゃんの為とバラされたくない一心で俺は無我夢中で路上をダッシュした。
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