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大企業の秘書って、ルックスの選抜もあるのだろうかな、と思ったとき、祐人が専務室のドアをノックしようとした。
「ま、待ってください。
人という字を書いて飲んでもいいですかっ?」
思わず叫んだのぞみを振り返りもせずに、祐人は、
「いや、待たない」
と言って、すぐにノックをしてしまう。
ひーっ。
これが社会人の洗礼かっ、と思ったとき、
「入れ」
という良く通る声がした。
どきりとしたのは、よく響くその声が素敵だったから。
と、このときは思ったのだが、あとから考えたら、違っていた――。
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