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「さあ、どうしてかねぇ」
「同じものばかり落とすのは、それが内心では嫌いだから、という説もあるのよ」
「まあ、好きじゃあないよ、確かに。でも、嫌いってほどでもないんだけどなぁ」
「自分ではわからなくても、そう思ってることがあるんです。深層心理って言うんだけど」
「じゃあ、あんたはどうなのさ。自分のが好き? 嫌い?」
「それは……」わたくしは思わず自分の足元を見た。「まあ、正直言って、普段は殆ど考えたことないわね」
「でしょう? あって当たり前だもんね。つまり、好きでも嫌いでもない。ってかそんなこと、考えたこともない。ほおら、俺だけじゃないじゃん」
男の子はにやっと笑うと、わたくしの目を覗き込んだ。金色の髪、白い肌、青い目が、間近に迫る。
わたくしのようなアジア系からすると、彼のような白人の少年はやはり綺麗に見えて、そんな風にされるとつい赤くなってしまう。また、この子もそれを知っていて、時々こうしてわたくしをからかうのだ。
「それよか、なんで落としたかより、どこで落としたかが知りたいんだよ」
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