籠の中の鳥

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籠の中の鳥

「入籍しないの!?」 社長はとても驚いていた。 結婚と言ってるのに、籍を入れないなんて、そりゃ驚くよな…。 「はい。役所には代理提出も可能ですが、受理した役所の職員には私の名前も彼女の名前もバレてしまいます」 「いくら守秘義務があるとはいえ、漏れる可能性が無いとは言いきれません。それでは、これだけたくさんの方に協力して頂いたことが全て無駄になってしまう」 「つまりは、事実婚ということになります」 しばらく沈黙が続く。 「…御村くんの彼女も納得してるの?」 「はい、私の仕事についてとても理解してくれています」 「2人が納得してるならいいんだ。でもね、御村くんはともかく、彼女の抱える秘密はとても重たいものだよ」 「歳を重ねるにつれ、特に女性は結婚やら出産やら…周りから無責任な言葉を浴びせられることが多いんだよ」 「彼女はそれを、どんな気持ちで聞いて、どんな気持ちで答えていくのか…それは考えるべきだと思うよ」 …俺の計画は完璧だと思っていた。 籍を入れなければ誰にもバレない。 一緒に住めばずっと一緒にいられる。 俺の立場ばかり考えて、女性に対する風当たりの強さまで考えきれていなかったかもしれない。 俺は彼女を分厚い嘘で塗り固めて、閉じ込めるのか…?
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