夫の休日前夜

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夫の休日前夜

俺のスケジュールは何ヶ月も前から決まっている。つまり、休日も。 妻も俺の休みに合わせて休みを取ってくれる。 正直、すごく嬉しい。 妻も、休日を共に過ごしたいと思ってくれているのかと思うと、顔が緩んで仕方がない。 それくらい、俺たち夫婦は顔を合わせることが難しい。 休日の前はできるだけ早く帰宅するように心掛けている。 …まぁ、実践できているかは別として。 少しでも早く妻に会いたいから。 いつもは布団で寝ている妻も、休日前はリビングのソファで寝てしまっている事が多い。 待っていてくれたのだろうか。 起きてるうちに帰れなかった申し訳なさと、いつもは暗いリビングが明るく、そして妻がいることが、もう嬉しくて嬉しくてたまらない。 俺はこっそり頬にただいまのキスをして、シャワーへと急ぐ。 ――― 寝支度を整えたら、妻を抱えて寝室へ向かう。 大抵、動かすと妻は起きる。 「あ…しょーちゃんだ。おかえりぃ…」 「ただいま、さくら」 やっと、起きてる姿に会えた。…半分寝てるけど。 やばい、ニヤけてしまう。 さくらは眠そうにしながらも、しっかりと腕を首に回してくれる。 この瞬間がとても愛おしくて好きだ。 布団に並んで横になる。 どちらからともなく寄り添って、鼻先がくっついてしまいそう。 俺はさくらの目をじっと見つめ、目を閉じながら唇を重ねる。 「続きはまた明日ね。今日も待っててくれてありがとう、おやすみ」 明日は目覚めた時から隣にさくらがいる。 嬉しい!楽しみ! 何をして過ごそうか! ワクワクしながら目を閉じていると、隣でさくらがゴソゴソと動き始めた。 近すぎて寝にくかったかな? そう思うより先に、体をこちらに向き直し、指と指を絡めて、色っぽく開かれた唇が俺のそれに重なった。 「続き、楽しみだね。おやすみ」 さくらはいたずらっぽく笑い、背を向けて寝てしまった。 俺は寝られないような、幸せな夢を見て寝られるような、なんとも言い難い状況に追い込まれてしまった。
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