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妻の休日前夜
夫のスケジュールは数ヶ月先までビッシリ決まっている。
そのおかげで、私は夫の休みに合わせてシフトを組み、有休を取る事ができる。
この点だけかな、有利なことって。
ははっ、笑っちゃう…。
そして明日は久しぶりに夫と一緒の休日。
帰り時間がマチマチのため、『もしかしたら起きてるうちに会えるかも!?』とほんの少しの期待を持ちつつ、リビングで夜遅くまで過ごしてみた。
24時を少し過ぎた頃から、フラフラと意識が朦朧としていたような気がする………。
―――
グッ…。
何かに捕まれるような感覚と、温かい何か。
「あ…しょーちゃんだ。おかえりぃ…」
「ただいま、さくら」
夫はにっこり微笑んでいた。
…また私は寝てしまっていたのか。
当然の様に、寝ていた私のことを抱きかかえて、寝室へと向かっていく。
その優しさが嬉しいけど、恥ずかしくて言葉にできないので、ギュッと抱きついてごまかす。
布団に並んで横になる。
どちらからともなく寄り添って、鼻先がくっつくんじゃないかってくらい近い。
…肌、荒れてないかな大丈夫かな。
しょーちゃんは私の目をじっと見つめ、ゆっくり近付いてきて唇が重なった。
「続きはまた明日ね。今日も待っててくれてありがとう、おやすみ」
続きはまた明日…か。
きっと疲れてるもんね。
私が寝てたから、気遣っての事だよね。
でも…なんか寂しいんですけど!?
私は体を起こし、真っ直ぐ真上を向いて眠るしょーちゃんの上に被さるようにして、そのぷっくりと厚い唇をはむっと食べるように、キスをした。
わざとだよ?もちろん。
「続き、楽しみだね。おやすみ」
それだけ言って背を向けて眠りについた。
少しはドキドキしてくれたかな?
明日、楽しみだなぁ!!
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