夢の国

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夢の国

am10:00 目が覚めると、隣がいつもの抜け殻で驚いた。 飛び起きてリビングへ走ると、そこにはまったりカフェオレを飲むさくらの姿が。 「しょーちゃん、おはよー!一緒に飲む?あ、グレープフルーツがいい?」 俺は目が覚めた時、さくらに隣にいてほしかった。 子供のようにムスッととしながらさくらに近付き、 「…さくらがいい」 と、正面から抱き着いた。 背中にさくらの腕がまわる。幸せだ。これは…!? 「もう!朝からやめてよ〜」 背中をバシッと叩かれて腕が解かれる。 そして何も無かったようにマグカップを片付け始めた。 …俺は結構本気だったんだけどな。 ――― pm1:00 遅い食事をとりながら、録画したドラマを横並びで見る。 当たり前の日常、という感じが幸福感を助長させる。 浮かれた俺は、またさくらに気まぐれにキスをした。 まずは頭を抱き寄せて。 髪に、そして額、頬へと唇を落としていく。 深い意味は無かったが、なんだかさくらの様子がおかしい。 耳まで真っ赤で、ゴソゴソと居心地が悪そうだ。 …ははーん。 pm2:30 俺はさくらの手を引き、寝室へと向かった。 ――― pm5:15 俺の腕の中にいるさくらは、もう晩ごはん作りたくなーい、と胸に顔を埋めてくる。 体温を直に感じている、こんな時にしか見せてくれない、甘えんぼモード。 この特別感が、たまらなく愛おしい。 「じゃあ今日はデリバリーで!」 「やったー!でもその前にお風呂入りたいな」 まだまだ甘えんぼモードは継続中のようだ。 「じゃ、久々の泡風呂…やっちゃいますかね!?」 「んふっ」 ――― pm6:00 浴室は泡でモッコモコ。 ドアを開けた瞬間2人で笑い合った。 向かい合って浴槽に浸かる。 何となく、俺の視線が泳ぐ。 さっきまで肌を重ねていたというのに、いざ明るい所で裸を目にするのは、いつまで経ってもドキドキする。 慣れてくればお互い泡を塗り合って、子供のようにはしゃぐんだけどね。 さくらなんて、ビキニ風に上手く塗って、ポーズキメててまじウケる。 ふざけて、笑って。 たったそれだけのことだけど。 俺にとっては最高に癒される休日。 ――― pm8:00 さくらは夕飯を食べ終えると、すぐに布団に潜ってしまった。 明日も朝が早いらしい。 俺も一緒に布団に入る。 「来なくてもいいのにぃ」 「さくらが寝るまで、ずっと一緒にいたいんだよ。俺が」 大事なことなので2回言う。 さくらの朝は早い。 それでも並んで布団に入ると、昼過ぎの出来事を思い出してしまう。 まさに据え膳。 また髪にキスをして、額、頬と唇を落としていく。 本気半分。期待を込めて。 「もう今日はダメだよ」 さくらが俺の頬に手を添えて顔を離していく。 年下のさくらにたしなめられ、その表情がいつもよりも色っぽく見えて、なんだか物凄くドキドキした。 「…トイレ。行ってくる」 「行ってら〜」 …俺はトイレで虚しくクールダウン。 布団に戻ると、さくらはもう眠っていた。 煮え切らない想いをが抱えながら、さくらの頬におやすみのキスをする。 休日だけは、逆転するキス。 それもなんだか特別な気がして、俺は好きだ。 さて、まだまだ夜は長い。 さくらが寝ると同時に、夢の国から現実に引き戻される。 俺は仕事の資料を広げ、片っ端から目を通していった。
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