取り調べ

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場所……警察署「取り調べ室」 万引き女 vs  取り調べ刑事 役 万引犯の女=ボケ 刑事=つっこみ 刑事「なあ、どうして万引きしたんだ」 女「誰かに気付いて欲しかった」 刑事「何を」 女「私がこの世界にまだいるってことを」 刑事「意味わからんな」 e4299cc3-ce03-4316-a9aa-01d5a9b1bd6b 女「刑事さんが風俗に、罵られにいくのと同じ」 刑事「行ってねえよ。しかも何だよ、罵られにいく風俗って」 女「私の存在は消えつつある、でも万引きすることでそれを遅らせる」 刑事「ムヒ盗んでか」 女「蚊だけが私の存在に気づいてくれる」 刑事「血がうまいんだな」 女「そう……かも」 刑事「まだ若いんだ、蚊みたいにお前さんを慕う若者が現れるよ」 女「蚊みたいにヒョロガリはいや」 刑事「そういうこと言ってんじゃねえよ 女「取り調べで、例えに凝る刑事もいや」 刑事「とどめさすう」 女「最近のディズニーアニメのトレンド知ってるかしら」 刑事「なんだよいきなり」 0b0d345c-0271-40b0-b98c-223cb4023bfb 女「お姫様が王子様と出会って幸せになりましたって、物語をやらないの」 刑事「王子と出会って結婚すりゃあ、幸せだろう」 女「姫は王子の子作りの道具になるだけだわ」 刑事「そんなことねえだろ。大事にされんじゃねえの」 女「そんな貧困な想像力だから風俗で罵られるのよ」 刑事「今、被疑者に不当に罵られとるわ」 女「とにかく、私たち女は王子に期待しないってこと」 刑事「だからって万引きしても意味ねえだろ」 女「じゃあ、あなた王子をやってみてよ」 刑事「へ、お前が姫なの」 女「私は城のドブねずみよ」 刑事「ハーツかよ……しかも、万引きはどこいった?」 女「王子様、ついに悪い魔法使いから姫を救出しましたね。でも、油断めされるな。有力貴族たちが自分たちの娘を差し出してくるのですから」 刑事「どんな美人が現れようと、我が愛は姫のものだ」 女「罵りの天才が現れたらどうする」 刑事「罵られ好きの王子じゃねえから」 女「その女の罵りは王子を童心に返す。まるで厳しかった父や母に接するように。刑事や、お前はなんでそうやって駄目な子なんだい、しっかりおし」 刑事「ケイジって名前なの、その王子」 女「刑事王子」 刑事「シュール」 女「だんだん、王子は大臣の娘の罵りから快楽を感じ"罵られの舞"を踊りだす」 刑事「何だ、罵られの舞って」 女「尻を突き出して、ぶってぶって、いいながら腰をふる踊り」 刑事「それ、とっくに王位継承権剥奪だろう」 女「王子はん、自分を開放してええんやで」 刑事「何でドブネズミが関西弁」 女「ねえ、王子様、私はただ守ってもらうのは嫌なんです」 刑事「ドブネズミなんか守るか」 女「勘が悪いわねえ、今から姫なの」 刑事「身勝手え」 女「あなたが自分にコンプレックスを持ってるのは知ってました」 刑事「持ってねえよ、失礼な」 女「あなたのコンプレックスは、自分というものがナイこと」 刑事「なんだよその曖昧なの」 女「空っぽの自分を埋めるために、私を悪い魔法使いから救ったのよ」 刑事「恩知らずな姫だなあ」 女「だってあなた、王子という地位以外何があるの」 刑事「賢くて、剣の達人で、顔もよくて」 女「あああああ薄っぺらい。統治者としてどうなのかって聞いてるのよ」 刑事「日々民のことも考えてるよ、彼らが幸せに暮らせるように」 女「ムヒも買えない、民の気持ちが分かるのかああ」 刑事「動機きたああ」 女「蚊に食われて痒くて眠れないんじゃああ、どアホおお」 刑事「意外にシンプルな動機」 女「つまりは、痒い、盗った、塗った」 刑事「カエサルの名言っぽいな」 女「何それ」 刑事「来た、見た、勝ったって名言だよ。わりい、インテリひけらして」 女「インキンひけらかすな、くおらああ」 刑事「誰がインキンじゃ、とにかく動機は分かったよ」 女「テメエが民の暮らしを守らねえからだよ」 王子「王子の苦労はんぱねえな」 女「ぼやぼやしてっと、革命おこすぞ」 刑事「王子ごっこはもういいから、まあ、初犯だし、店長もおおごとにしないっていうから」 女「す、すいませんでした。反省してます」 刑事「二度とするなよ、かゆいからって」 女「王子様に、最後のお願いがあるの」 刑事「王子じゃねえから、もう。何だよお願いって」 女「民に蚊取り線香の配給もお願いしやす」 刑事「いい加減にしろ」
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