いいねくれよ

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いいねくれよ

場所 銀行 強盗 「大人しくしろお、このナイフが見えねえか」 行員「い 、今すぐ、お金は用意します」 強盗「いや、金が欲しくて強盗に入ったんじゃないんだ」 行員「え、何が目的で」 強盗「あのさあ、イイネ、おくれよ」 行員「え、何ですか」 強盗「だからあ、イイネおくれよ、俺が投稿した小説に」 行員「はあああああ、そんな目的で銀行強盗入ったんですか」 強盗「何だあ、文句あんのか」 行員「ち、ちなみにどんな内容ですか」 強盗「銀行強盗に入って、そこで嫁を見つけるってストーリーだ」 行員「ええっと、タイトルは」 bf641aa0-02e0-42ac-8550-74766d8c9712 強盗「出会い頭のバンクラブ」 行員「それはちょっと、ど、どうなんだろうなあ」 強盗「イイネしないならテメエから刺すぞ」 行員「もうちょい内容変えませんか」 強盗「既に最高のプロット何だよ」 行員「リアリティがないっていうか」 強盗「でも、俺ここで、本気で嫁見つけるよ」 行員「小説がそのまま現実なんだ」 強盗「ノンフィクションだからな」 行員「そういうの犯罪予告っていいません?」 強盗「さあて、どの人質と付き合うかなあ。おすすめいる?」 行員「それより、イイネすれば解放してくれるんですか」 強盗「お前何か文学音痴っぽいしなあ」 行員「いやいや、俺も小説書いてますから」 強盗「へえ、ジャンルはなに」 行員「恋愛小説です」 強盗「同士じゃん」 行員「そっちは犯罪予告でしょ」 強盗「いるんだよなあ、エンタメ馬鹿にする奴」 行員「犯罪予告エンタメじゃないかも」 強盗「お前純文よりの恋愛小説派だろ」 4faedf6a-1a6a-45ba-8478-25a56ff9fd2e 行員「そっちもコメディよりのサイコ派ですよね」 強盗「あ、むかつく、刺すか」 行員「い、イイネ、しますよ。サイト名教えて下さい」 強盗「ニャロゥってサイトだ」 行員「え、もう200イイネもらってるじゃないですか」 強盗「たったの200だよ。最低1万ないと書籍化しないからな、ちなみにお前の幾つだよ」 行員「3イイネです」 強盗「お前よく筆折らんね」 行員「い、一般受けしなくて、いいんですよ。分かる人が分かれば」 強盗「まあ、どうでもいいや。嫁探さないと」 行員「誰が強盗と付きあうかっての」 強盗「もう1人の行員とLINE交換したよ。小説読ませたら天才だって」 行員「嘘だああ」 強盗「彼女、お前の小説めちゃくちゃつまんないってよ」 行員「やめてえ」 強盗「才能ってのは、生まれながらのもんだからな」 行員「もうさっさと嫁見つけて帰れや」 強盗「ざっと読んだけどお前の小説に足りないのはリアリティだよ」 ed896f72-7205-489a-a633-79857fe3de90 行員「ぎく」 強盗「お前恋愛経験ないだろ、童貞か?」 行員「そのナイフかせえ」 強盗「お前も同僚で好きな子いるだろ、コクってこいよ」 行員「この状況下で?」 強盗「そうやって言い訳ばっかするからイイネ三つなんだよ」 行員「それは飛躍しすぎでは」 強盗「おい、あそこの縛られてる可哀想なメガネの子いいじゃねえか」 行員「あんたが縛ったんだけどな」 強盗「彼女に言ってこいよ、君の人生にイイネ100捧げるって」 行員「お寒いだけでしょう」 強盗「とにかく行ってこい、じゃなきゃ刺すぞ」 行員「あ、うああ、分かりましたって」 強盗「どうだ脈あったか」 行員「解放してくれって泣かれました、もう完全に共犯者だと思われてます」 強盗「あの子にちゃんと言ってやりな。俺たちは文学の共犯者だって」 行員「消えて、夏のセミみたいに」 強盗「お前知らねえのか、人質ってのは犯罪者に恋愛感情抱きやすいんだって」 行員「ああ、ストックホルム症候群でしたっけ」 強盗「何でそんな言葉まで知ってんだよ。やる気満々だな」 行員「たまたま知ってただけですよ」 強盗「とにかく人質は強盗に惚れるんだよ」 行員「そんなこと言われても」 強盗「ああああ」 行員「何スカいきなり」 強盗「さてはお前俺に惚れとるな?」 行員「どーしてそーなる」 強盗「印税入ったら、大きな家に二人で住もうね」 行員「やっとられんわ」
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