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私は精神科系の病気になって、凄く太った。一時食欲というものがまるでなくなって恐ろしく痩せて体力が急激に衰えた経験から怖くて食べたのだ。
その経緯は旦那から聞いていたはずなのに。症状が落ち着いて、久しぶりに実家に帰ったら母は第一声
「やだー!デブになっちゃって。仕事できない人に見えるよー、みっともなーい!」
そのまま自分の家に帰って、もう二度とこの家にはくるまい、と思ったけれどそれには四時間運転しっぱなしだった旦那がかわいそうだ。
父は笑って喜んでくれたし。
旦那は思うところあったらしく、私が元気な姿を私の両親に見せようと言わなくなった。
とにかく、娘が自分より幸せそうだと、マウンティングして自分の方が勝っているとアピールしたい人だった。
私が中学生の時なけなしの小遣いで買ってきたインコも勝手に自分にだけ懐かせようとした大人げない人だ。
私が出産して孫が出来たら出来たで、赤ん坊だった息子が泣いているのを私から奪ってあやそうとして、私がだっこするまで泣き止まなかったのを見て、「なんなのその子、かっわいくない。あんたの子だからきっとあんたみたいに鬼子になるよ。ああ赤ん坊の鳴き声って耳につく!」とすねた人だった。私が母親だからしょうがないだろう…鬼子って…
私がもうすぐ臨月で出産間近なころ、「最近あんまり胎動が解らない、どうしたんだろう?」と言ったら「死んでるんじゃない?その方が面倒くさくないわ」と言うので絶句した。
ギャーギャー自分の実家に帰って産めと言って聞かなかったのはあなたでしょと思ったけれど。
あとで本を読んで、出産が近い胎児は動くことがすくなくなると知った。ほっとした。
私が楽しそうに子育てしているのも気にくわないらしかった。怠けてて楽でいいね、とさんざん言われた。家の掃除ちゃんとしてるの?とか、旦那にかまってやらないと、あの男なら浮気するよとしつこく電話で言い募ってきた。ホントに私が楽しいと嫌みたいだった。
母にとって育児とは「歯をくいしばって頑張ってなにくそ!」とやるものらしかったから。
なんなら私が旦那と結婚したことも悔しかったらしかった。自分の言うことに服従する誰かと私を結婚させたかったらしい。
旦那はメンタルの強きこと母を凌駕するので全然気にしなかった。
そういうの全部認知症で忘れ、父亡きあと無邪気に私に甘えてくる母の相手して、私がどのくらい呆れたか、ご想像にお任せします。
弟から、ねーちゃんこっち帰ってこないのか?と聞かれ、理由をこしらえて帰らないと応えた。
肉親だから情がでて切り捨てられないけど、会いたくもなかったし。
旦那の亡きお義母さんが優しかった分、情けなく思った。実の親なのにこんな酷いこと言われるなんてと。母は、私の旦那の家族も酷い罵りようで田舎者とバカにしていた。旦那の前ではやらなかったが、なんとなくそういうことは言わなくてもばれる。
今なら母が何であんな態度をとったのか解る。
母は何者かになりたくてなれなくて、自分の分身だと思っていた娘の私を、完全無欠な子供に育てたかったんだと思う。
「過保護のカホコ」というテレビドラマに出てくるヒロインのカホコのような、[何をしても自分を好きで居てくれるかわいい娘]が欲しかったんだろう。真っ平ゴメンだ。
途中から現れて私を手元からかっさらっていった旦那も気にくわなかったらしい。
どんな状況でも気にくわなかっただろう。もっともっと私を愛して欲しいと言外に家族に要求してたから、結婚して家を出るというのは裏切り行為だと思ったに違いない。
自分が嫌いで、愛情の自給自足が出来なかった人だった。大人になりきれ無かった人。
私の母だなあ
私そっくりで
私この人の娘なんだな。
父の葬儀で家族が集まったとき、認知症の母のお守りしていてしみじみ乾いた笑しか出なかった。
人数の多い兄弟姉妹の末っ子で、早くに両親を亡くして。愛情、欲しかったんだろう。
私の母世代にはそういう人が多いらしい。そういう人に育てられた人が今正義を語って槍玉にあげてもいい人をよってたかって精神的サンドバッグにしている。
こんな連鎖、できる範囲でも私の代で断ち切らないとダメだなと思った。
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