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そのお父さんの一声で皆、少しほっとしてその場が和んだ気がした
結局、私達は咎められることなく
自分達の責任のもと上司への挨拶や
知人達への説明をし予約した諸々もキャンセルをすることで話は終わるように思えた
私は母と航輔と一緒に高野家をお暇することにした
玄関まで聡と聡のお母さんが送ってくれて帰ろうとした時急に
聡のおばあちゃんがお母さんの後ろから現れ私に抱きついて来た
私も皆も何が起きたのか分からずそのままでいると
おばあちゃんが私の胸でさめざめと泣きだした
「おばあちゃん?」私が覗き込むと
「安珠香ちゃん、お願いだから考え直してちょうだい
私はずっと楽しみにしていたのよ
あなたがお嫁に来るのを
ほら見て、あなたにして貰おうと思って
エプロンも縫ったし、
聡との結婚式とても楽しみにしてたのよ
お願いよ、結婚を辞めるなんて言わないで」
そう言いながらおばあちゃんは私に抱きついたまま離れない
「おばあちゃん、ごめんね。それはできないの」
私はおばあちゃんを抱き留めながら謝るしかなかった
本当にごめんなさいと。
「おばあちゃん、安珠香ちゃんから手を離して
子供のようなことを言わないの
血圧が高いんだからそんなに興奮しないで」
「そうだよ、おばあちゃん」
聡のお母さんと聡が一生懸命なだめる中
後から来た恭子ちゃんが憮然とした表情で私の前に立った
「おばあちゃんは安珠香さんが大好きだったのよ!
安珠香さんがこの前うちに来た時に
昔お兄ちゃんから貰った、おばあちゃんが作ったお手玉を
今も大事に持ってるって言ったでしょ
あの言葉におばあちゃん、とても感激して
20年も前にあげたものを大事にまだ持っていてくれたなんて
本当にいい子だねって何度も言うくらい、
安珠香さんを気に入ってしまって
本当に二人の結婚式を楽しみにしていたのよ
それなのに、急に白紙に戻すって・・・
おばあちゃんの気持ちも考えてあげて!
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