友人から恋人へ

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当時の記憶が今一つはっきりしないのには訳があった 私は小学5年生の時から中学を卒業するまで ずっと好きだった男子が居た 私の好きだった山之内君は 5年生の2学期に私のクラスに入ってきた転校生で 最初はシャイなのか物静かで一人でいることが多く 話しかけづらいイメージだったのが 隣の席になり話してみるとウイットに富んだ頭のいい子で 私はあっという間に彼のことが好きになってしまった そして中学に上がると 細身で長身、凉しい目をした山之内君はそのクールな佇まいで いつの間にか女子の憧れの的になっていた 多分、聡と人気を二分していたと思う 中学の3年間、山之内君はたくさんの女子から好意を寄せられるのだが 誰とも付き合うことは無かった というよりは女子から呼び出されても なぜか絶対に応じることはなかったのだ 唯一、私とだけは言葉を交わすので 周りの女子達から私はかなり恨まれていたと思う 結局、山之内君以上に恥ずかしがり屋だった私は 告白することもできずに終わったのだが… なので、小、中学時代の私の頭の中は 山之内君のことでいっぱいだった為、聡の印象はかなり薄い と言うか中学では同じクラスになることもなかったので ほとんど記憶に無いのだ 5年後の秋、友人の大学の学園祭で偶然出会うまでは 私の中の聡は幼稚園の時のままで止まっていた。 再会した時に、 ガキ大将の割には虫が嫌いで 幼稚園バッグに止まったカマキリを見て 泣いていた姿を急に思い出した私は 聡を見るなり吹き出してしまって聡を驚かせた (因みに当時、聡のバッグからカマキリを取ってあげたのは私だ)
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