3つ目『小説好きなんだ』

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 そう彼女は安堵した表情を浮かべた。どうも俺は彼女の笑顔やほっとした表情に弱いらしい。  さっきまでの胸の鉛を無視して、終わったと思ってたのが繋がった喜びと、このチャンスを逃してはいけないという焦りが、声になって零れだした。 「あの…… 俺も、ホットチョコレートはまってさ」 「だよね! 本当アレ美味しいよね~」 「今から、俺も行こうとしてたんだ。良かったら…… どう?」  別に告白でも何でもないのに、心臓が痛いぐらい早く動く。  もし、断られたら。いや、今岡さんからしたらまだ会って2回目の奴だ。それに、1回目は道案内っていう口実があったけれど今回は違う。  やっぱりこういうナンパみたいな行動って引かれるのか? 男子校の俺からしたら全然わからない。 「良いよ。この前、時間無くてあんまり話せてないし。前回のお礼させて」  そう小さな唇から優しい言葉が紡がれた。前回のお礼って事は、前回のお陰で今回が有るって事だよな? 誰だよ、前回黒歴史だとか言った奴。
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